若い頃から祖父の権力に支配されていた家系の中、
私は、常に「自由になりたい、自由が欲しい!」と喚き、
家を出たり牙を向いてきましたから、祖父が亡くなった時は
心のどこかで「やっと呪縛から解放された」と言う気持ちもありました。

そして、その頃のアタシは、祖父の事は
「お金でしか愛情を表現出来なかった、不器用で孤独な人であった」
とつくづく思っていて、哀れむ気持ちでいました。

しかし・・・。
亡くなった後、祖父の資産である幾つかの会社や、
あちこちにある土地、そして本家を含む家等は、
ほぼ全て祖父の息子(叔父)に相続される形になり...
アタシは実家というものも無くなった事で、完全自立する課程に至りました。

祖父は脳梗塞でマトモな判断ができない状態だったので、
色々とその間に、祖父の生前の言葉とは違った形で
そういった事は進められていたようです。

なので、その後は親族同士の間は分裂気味になりました。

まぁ、要は、遺産の事で色々とあったんですがね...
ちょっとその辺は詳しく書けないので省きます。


...といっても、私はすでに東京に出て音楽の方の事に夢中になっていたので、
当時はあまり、その事に関してはそこまで意識してなかったのですが、
その後に、徐々にその立場を身をもって知らされていく課程があったわけです。

そして、自覚したんですわ。。。。
今まで自分がいかに「裕福な環境=祖父に守られた中にいたのか」という事に。

同時に私は、祖父が一時優しくなった時、呟いていた言葉を思い出し、
「祖父の不器用な愛情」にも、つくづく有り難みを感じられるようにもなっていきました。

でもその一方では、
「アタシは、祖父に守られていた頃のような安堵出来る状況がもうないのだ」
....と言うのを認識していく中で、自分の意識的に
「この先どうしよう...こんな事してていいんだろうか」
「私の老後って一体どうなるんだろう」
等と将来への不安感が出ていたりして情緒不安定な状態になったりしていました。

そう思うのと同時に「私は自立している」と強気でいた自分が、結局は
「祖父の蚊帳の中で守られていた単なるお嬢様に過ぎなかったんだ」
と思って、悔しくなったりもしました。

しかも、その頃は、家系の周りにいた人間達から、さんざん電話がかかってきていて、
資産分与についての裏側の噂や様々な事実を吹き込まれる事で、
自分の中に親族に対する悔しさや憎しみのような醜い感情が湧き上がっていたりもしました。


それから数年・・・・。

アタシは元旦那と弱小ながらも起業をする事により、様々な課程で
「成功者の苦悩や苦労というのは、どれほど過酷なものであるのか」
「そして、莫大な富を得る代わりには、何を犠牲にし何を引き換えにしなければいけないのか」
というのが、なんとなく解っていきました。

...不思議な事に、それまで音楽業界の中で色んな思いをし、
世の中の色んな事を少しずつ知る事によって、ある時期ふと気づくと、
私の中で祖父の資産の事で親族に対してモンモンとしていた醜い感情も、
いつの間にか消えてなくなっている事に気がつきました。

...それは、そういった様々な事を経験しているうち
「成功とか名誉とか、たくさんのお金を手に入れるというのは、
どんな事であり、そしてそれは、自分がどんな運命を選んでいるのか」
という事や、
「自分がそういう課程を経ていない、なんぼのものでもないうちに、
いきなり巨額な金や資産を背負っても、自分が扱えるだけの力が無ければ、
そこに付随してくる運命に自分が潰されるような結果を辿るのかもしれない・・・」
というのも、なんとなくわかったからなんだと。

つまり、まぁ、簡単に解りやすく言えば
「そもそも、そういった「基盤」を築けてない状態のアタシが、
　いきなり莫大な資産を持ったとしても、上手になんて使いこなせないだろうなw」
という事ｗ


何も基盤を作っていない得てない状態で、突然それを背負う者の苦悩はいかに大変であるか。

...だから、ある意味、それを継いだ親族は、そういった様々な
「苦痛」と「苦悩」を代わりに背負ってくれているのだな...とも思えます。

事実、周りの人達から
「二代目社長だから^^;」とか「あの人は子供だからね〜^^;」
なんて従業員に影口叩かれながらも、やっぱり祖父のように
（違う意味だけどｗ）嫌われ者になりながら、いつもイライラとして、
時に寂しそうにして、その重荷を背負って生きている叔父。

顔を合わせればアタシや弟に
「だいだいよ〜!お前らはいいよなぁ?!好き勝手に生きてよ!
　俺なんてなぁ！大変なんだからな!!!(←ホントこういう子供っぽい怒鳴り方w)」
なんてイライラして説教してきますがw

...でもね、お互い、その道を自分自身で好きで選んだ事ですからw
そのかわりに、お互い、あるところないところはあるんですのよw

・・・という本音は伏せておいてw
「あー、へぇへぇ(-▽-)」と言いつつ、うまく逃げながらw
今は、距離をとった所で付き合えてます、ハイw

...まぁ、金持ちの家の裏側事情とかってのも色々とあるわけですw

...若い頃、牙を向いて
「アタシは自由になりたいんだ!!!ヽ(`Д´)ﾉ」
と喚いていたアタシに祖母がよく言っていました。
「あんたねぇ!
自由になりたい自由になりたいっていつも言ってるけど、
自由程、贅沢なものはないんだよ!？」
とw

...おっしゃるとおりでw

まぁ、そりゃ金はあった方がいいけどねぇ・・・w
でも、お金がたくさんある環境が必ずしも幸せとは限らないw

...世の中、何が幸せかなんて解りませんよ...w
...自由万歳！( ´ ▽ ` )ﾉ　←能天気

-　終　-

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